マルセイユタロットについて

マルセイユタロットは、今世界中に出回っているすべてのタロットカードの原型になっている、最初期に作られたタロットカードです。ウエイト版タロットもトートのタロットも書店で購入できるタロットも、すべてこのマルセイユ版がもとになっています。マルセイユ版はタロットカードの「元祖」といえるでしょう。

マルセイユタロットの象徴とデザイン

西暦14〜15世紀ごろまでに「タロット」というものを作った人たちが盛り込んだ、さまざまな象徴や寓意が、最も原型に近い形で盛り込まれ、現代まで保存されてきているのがマルセイユタロットです。一方、マルセイユ版以外のタロットでは、もともとの象徴や寓意が失われていたり、反対に全く関係のないシンボルや作成者個人の解釈が加えられていたりして、タロットのもとの形が残っていないのです。

マルセイユタロットと呼ばれるタロットカードはすべて、ほぼ同じ構図で描かれています。ただ、線のタッチや色使いには多くのバリエーションがあり、制作者によって細部のデザイン的な違いがあります。また、一部のセットは、マルセイユ版として維持すべき最低限のルールからいくらか脱線しているものもあり、それらのカードを占いに使用する際には「基本形」に頭の中で変換する必要があります。

現在、数あるマルセイユタロットのうち、最も基本と考えられているもの(一番古いわけではないが、現に最も多くの研究者や占い師が他のどのカードデッキよりも長い間採用している完成された基本形)は、フランスのグリモー(Grimaux)社(現在はフランスカルト社)のタロットカードであり、当学院でも教材としてグリモー社のマルセイユタロットを推奨しています。

小アルカナに見られるマルセイユタロットの特徴

数札のデザイン
1(Ace)から10までの数札は、デザインが非常にシンプルです。基本的に、各スートのアイテムがその札のナンバーの数だけ描かれます。とはいっても、トランプほど単純化されているわけではありません。描かれるシンボルには恣意的な配置や大小があったり、周りに象徴的な植物の模様が描かれていたりします。
正逆のないカード
マルセイユタロットの数札には、上下対象の絵柄もあります。それらの札は、「逆位置」の意味を持ちません。つまり、ほかの札のように、正位置と逆位置で違う意味を持つということがありません。
不吉な暗示が出ても、避けられること
数札は、シンプルではっきりしたメッセージを持っています。病気や失敗、後悔など、明らかにネガティブな状況を暗示するカードもあります。それらのメッセージが占いの中で現れた時、何も対策を講じないでいると、実際によくない状況になります。しかし、数札によって暗示された出来事は、行動や考えを変えることで、避けることができます。この数札の性質は、大アルカナと大きく異なる点です。
大アルカナは、その人をとりまく大きな運の流れを表します。ですから、場合によっては、どうやっても避けられない運を示していることがあります。そのかわり、大アルカナのカードはそれ自体の意味の中に、教訓や心構えなどの救いが含まれています。正しくタロット占いをおこなうためには、この救いの意味まで知っておく必要があります。大アルカナを単純に「良いカード」「悪いカード」などと覚えるのではなく、「善悪」を超越して理解する必要があります。このことはもちろん、マルセイユタロットのすべてのカードについていえることです。
そして、大アルカナと小アルカナの重みの違いを理解し、78枚すべてを使うことが、正しく占うために絶対必要なことと言えます。大アルカナ22枚だけを使うような占い方法は、タロットの大小アルカナのそれぞれの存在意義を無視してしまうだけでなく、運勢の強弱や運命的な意味の大小を曖昧にしてしまいます。

大アルカナの世界観と歴史的背景

マルセイユタロット、というより、そもそものタロットカードの始まりは、記録上は西暦15世紀前後と考えられ、大アルカナの絵柄は、ルネッサンス期から近代にかけて出来上がったのではないかと思われます。マルセイユタロットの最大の特徴は、作者が分からないこと。おそらくは、複数の人々の手を経て長い年月の後に今の形に落ち着いたと思われることです。C.G.ユングやユング研究者らが注目するのもその点です。おそらくマルセイユタロットは、ただひとりの作者の作品ではなく、人類の文化そのものなのです。

ルネッサンス期から近代にかけての北イタリア・南フランスには、世界中から多彩な文化が流入していたと考えられます。それらの文化がタロットの絵柄にも大きな影響を与えたはずです。宗教や神話を横断した、豊かな象徴、文学性、世界観を読み取ることができます。その中には、キリスト教的な教え、ユダヤの秘密の教え、古代ギリシャの物語、数秘術に基づく数の象徴、古代エジプトにつながる象徴など、さまざまな題材が描かれています。そしてマルセイユタロットは決して、そのどれか一つだけのためにあるのではなく、また、そのうちの一つだけがベースになっているのでもありません。

タロットカードを読み解くときは、カードの絵柄から勝手な想像や“直感”を働かせるのではなく、これらの複雑な象徴や普遍的な価値観をしっかりと学んだうえで、カード一枚一枚の確立された世界観をベースとしたリーディングをすることが大切です。

中には、「マルセイユタロットはトランプのように、ゲームや博打のためのカードだ」「だから深い意味はない、占いには使えない」という人がいます。ゲームや博打につかわれていたのは本当です。しかし、だからといって、「深い意味がない」とか「占いには使えない」というのは間違っています。そもそも、タロットが「何のために」作られたのか、というのは未だに謎であり、また、一時的に遊技カードとして使われていた時期はあったにせよ、何百年も同じデザインが受け継がれるには、その絵と構成に普遍的な何かがあったはずです。実際、マルセイユタロットの絵やデザインを詳しく見れば、数え切れないくらい多くの寓意や象徴が見つかります。

たとえば将棋や相撲、麻雀などは、もともと戦争の勝敗や国の優劣、運のある方向を占うための儀式や卜占(ぼくせん)が原型だったと言われています。ゲームや賭博もふくめ、「遊び」といわれるものはすべて実際の世の中の構図や運命・運勢の仕組みを縮小してシュミレーションする場であるという事実を考えるなら、「遊びの中にこそ世界の真実がある」ということができるでしょう。

また、思想の弾圧があった中世〜近代では、哲学者や芸術家は「遊び」の中に真理を託して、迫害による抹消から守ったことも多くありました。このように、「遊び」という自由な枠の中だからこそ、その時代の文化や哲学思想を忠実に保存できたという事実も見過ごすことはできません。「遊びに使われていたから」という理由でマルセイユタロットを度外視するのは非常に短絡的な考え方であり、大きな間違いです。

一方で、マルセイユタロットが、誰かひとりか数名の人によって作られたという可能性もあります。そう信じる人によれば、マルセイユタロットには、おそるべき秘密の教えが隠されているといわれています。今も、その真相を研究している人たちはいるようです。私ももちろん、神秘的な宝物がこのカードの中から掘り出されることを期待して、探求を続けています。

関連講座:
マルセイユタロット入門講座
マルセイユタロット基礎講座
マルセイユタロット実践リーディング講座
マルセイユタロットプロ養成コース
マルセイユタロットプロ強化コース
ソフィアタロット学院 占い講座一覧へ
占いコラム:
タロット上達の秘訣
ホロスコープの実践的読み方
数秘術の“流派”について
カバラに関する誤解

▲ページトップへ

オンラインショップはこちらへ